大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌地方裁判所岩見沢支部 事件番号不詳 判決

主文

被告人藤沢邦雄を懲役一年六月に処する。

(他の被告人に関する部分は省略する。)

控訴費用のうち、証人赤沢芳夫に支給した分は被告人藤沢邦雄、薄恭平、山田孝一、中川隆正、秋山隆、倉田収作、林ヨシの、証人喜井進に支給した分は被告人薄恭平、中川隆正、倉田収作、林ヨシの、証人箱崎金良に支給した分は被告人藤沢邦雄、山田孝一、秋山隆、弁論分離前の相被告人野口富美子の各負担とする。

被告人藤沢邦雄が、昭和二十四年七月十三日頃麻薬を不法に所持しているとの麻薬取締法違反の点につき、同被告人は無罪

理由

(罪となるべき事実)

第一、被告人藤沢は、麻薬取扱者でなく、法定の除外事由もないのに

(一)昭和二十三年四月頃、肩書自宅で、被告人薄から、木下幸作を通じ、麻薬である塩酸モルヒネ末五瓦入一びんを代金二千円位で譲受けて所持し

(二)同年十月頃と十一月頃の二回にわたつて、いずれも、肩書自宅で、被告人秋山から、麻薬である塩酸モルヒネ末合計三瓦半位を代金合計七千円位で譲受け

(三)同年十一月頃、肩書自宅で、被告人簿から、麻薬である塩酸モルヒネ末五瓦入一びんを代金二千円位で譲受け

(四)昭和二十四年三月頃、肩書自宅で、妻富美子を通じ、被告人簿から、麻薬である塩酸モルヒネ末四瓦入一びんを代金二千円位で譲受け

(五)同年四月頃、肩書自宅で、妻富美子を通じ、被告人簿から、麻薬である塩酸モルヒネ末一瓦入一びんを代金千円位で譲受け

(六)同年三月頃、肩書自宅で、被告人倉田を通じ、五島健三から、麻薬である塩酸コデイン末二瓦位入一びんを代金九千円位で譲受け

(七)同年六月頃、肩書自宅で、被告人簿から、麻薬である塩酸モルヒネ注射液五cc入のもの三本位を洋傘一本と交換して譲受け

(八)同年六月初頃、被告人中川隆正の肩書宅で、大宮市郎を通じ、同被告人から、麻薬である塩酸モルヒネ注射液三cc入のもの二本を、後日同種同量のものを返還する約束で、交付を受けて譲受け

〔第二乃至第七(他の被告人に関する部分)は省略する。〕

たものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

法律に照すと、被告人等の判示の所為中、被告人藤沢の第一の(一)の所為は麻薬取締規則第五六条第一項第四二条麻薬取締法第七四条に、(その他の被告人に関する部分は省略)、被告人等の爾余の各所為は麻薬取締法第五七条第一項第三条第一項に、各該当するところ、(他の被告人に対する部分は省略)、被告人藤沢は、当裁判所で、かつて、麻薬取締規則違反罪で懲役八月の刑の言渡を受け、この裁判は、本件犯行後の昭和二十五年一月二十日確定したことは、同被告人の当公廷のその旨の供述であきらかであるが、この確定裁判の罪と同被告人の本件の各犯行とは刑法第四五条後段の併合罪だから、同法第五十条によつて、未だ裁判を終ない本件につき更に処断すべきところ、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、同法第四五条前段の併合罪だから同法第四七条第十条によつて、犯情の最も重い判示第一の(三)の罪の刑に法定の加重をなし、その刑期範囲内で同被告人を懲役一年六月に処し、(他の被告人に関する部分は省略)、訴訟費用は、刑事訴訟法第一八一条第一項によつて、主文の通り被告人等をしてそれぞれ負担せしむることとする。

なお、被告人藤沢邦雄が、昭和二十四年七月十三日頃、肩書自宅で麻薬である塩酸モルヒネ水溶液三、六ccを不法に所持していたとの公訴事実については、犯罪の証明が十分でないから、刑事訴訟法第三三六条によつて、同被告人に対し、この点につき、無罪を言渡すべきである。

以上の理由によつて主文の通り判決する。

(昭和二六年二月二六日札幌地方裁判所岩見沢支部)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!